参考資料3: 英語と日本語の違い

 

 

 

 

英語と日本語との違いを踏まえ、以下では言語的、文法的な注意事項につ
いて述べます。

 

I.読みやすい内容にする: 全体を考える

II.効果的な文構造

 

i翻訳先の言語をうまく使う

ii一文の長さは長すぎない

iii主語が長い文を避ける

iv一文の主語をはっきりさせる

v簡潔にする

 

III.日本語において自然な単語を選ぶ

 

i正確な単語を選んで、明確に理解されるようにする

ii翻訳先言語の慣用に従い、翻訳のなめらかさを高める

iii補足資料

 

I.読みやすい内容にする: 全体を考える

 

学術的な文章は、通常決まった構造を持っています。その翻訳には、ミクロと
マクロという2つの面での作業が必要になります。各単語、各文の翻訳のみに焦
点を合わせると、段落の構造を見失ってしまうかもしれません。文章のなめら
かさを高める上で、全体像を見てその意味を効果的に伝えることが重要です。
各文の翻訳をひとつの作業とすれば、それらを全体として適切にまとめるのは
また別の作業です。

 

一文一文、一語一語はうまく翻訳されていても、原稿全体ではよくわからない、
首尾一貫していない、読みやすくない、という翻訳がときどきあります。これ
は、翻訳者の側で全体的にどのように理解されるかを考えることが難しい場合

があるからです。

 

例1

 

例2

 

II.効果的な文構造

 

i日本語をうまく使う

 

翻訳の目標は、翻訳された文章があたかも最初からその言語で書かれていたように
読まれることです。この目標の達成には、文章の流暢さが鍵となります。お客様
は、学術的でありながら、自然で読みやすい翻訳を望んでいます。英語から日本語
に翻訳する際、多くの翻訳者は英語の文構造に従っています。そうすると、修飾語
と接続詞が多すぎる長い日本語になってしまいます。

 

英語の一文が長すぎて、日本語をそのままの一文に翻訳するとわかりにくくなっ
てしまいそうな場合には、明快かつ読みやすくするために、2つの文に分けてくだ
さい。もちろんこの方法は、訳文において原文の意味を保つことができる場合に
のみ行ってください。

 

 

ii一文の長さは長すぎない

 

文章は、各文の長さがいろいろですが、長すぎると読みにくくなり
ます。一般に、英文は20-30 単語が読みやすいとされていますが、日
本語の場合、一文の長さは40-50文字程度がよいと言われています。
ただし、文章の種類によっても違ってきますので、これはあくまで
も目安です。読者が一文を何度も読み返す必要なく、文、段落をな
めらかに読み進められるような文章を構成してください。

 

iii主語が長い文を避ける

 

文章を読みにくくするひとつの原因は、主語が長すぎることです。こ
のような文章は、とても長い主語と、短い動詞からなっており、重要
な情報が詰め込まれすぎています。読者が文章を理解する上で、主語
の長い文章は扱いにくいものです。主語の長い文章を避けるためには、
動詞をできるだけ主語に近づける、あるいは文章を再構成する、など
の方法があります。

 

例1:

 

iv不必要な語句の挿入は避ける

 

日本語の文章では、主語が明らかな場合、基本的に書かずに省略し
ます。ですから、英文和訳の場合、英語をそのまま訳すとわかりき
った主語が繰り返され、文章がぎこちなくなります。一方、英訳の
際は各文の主語をできるだけ明確にして、文章のなめらかさを高め
ます。英訳でも和訳でも逐語的翻訳は避けてください。

 

例1:

 

v簡潔にする

 

冗長な表現は、読者が著者の意図を追う妨げになります。特に事実を示す文章

については、冗長な表現を避け、内容が正確に伝わるようにしてください。

 

例1:

 

III.日本語において自然な用語を選ぶ

 

i正確な用語を選んで、明確に理解されるようにする

 

効果的な文章を書くということは、適切な用語を意識して選ぶということで
もあります。どのような文章であっても、文脈に合った適切な用語や表現を

用いてください。

 

例1:

 

ii日本語の慣用に従い、翻訳のなめらかさを大きく高める

 

それぞれの言語には、考えを書き表すための特定の表現があります。つまり

、文法的には正しいけれども、慣用的表現ではない、ということがあるので

す。その言語の慣用に従わないと、ぎこちない文章になってしまいます。

 

例1:

 

例2:

 

ちょっとしたコツ 

 

日本語の慣用表現を意識しましょう。例えば、量の変化を表す動詞は、内
容によって使い分けられています。気温が上昇する、体重が増加する、距
離が延びる、収益が増大する、支持率が低下する、人口が減少する、規模
が縮小するなどです。英語と日本語の使い分けは異なりますので、内容に
即して訳語を選んでください。

 

適切な単語かどうかだけでなく、適切な連語かどうかも辞書やインターネ
ット等を使って確かめてください。

 

補足資料

 

言語

 

http://www.wsu.edu/~brians/errors/errors.htmlワシントン州立大学英語学名誉教授
PaulBrians によるウェブサイト。英語において、最もまぎらわしい語や最も
よくある誤りについて学ぶ。

 

https://engineering.purdue.edu/MECOM/Assignments/1.2009.SPRING.ME290/2008.
SPRING/sentence.of.the.week.25feb08.htm 主語が長い文を修正する方法について。

 

http://www.pleonasms.com 冗長な表現の一覧。

 

http://books.google.com/ngrams/ Google Booksデータベースでの連語検索。

 

 

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