英語と日本語との違いを踏まえ、以下では言語的、文法的な注意事項につ いて述べます。
I.読みやすい内容にする: 全体を考える
II.効果的な文構造
i翻訳先の言語をうまく使う
ii一文の長さは長すぎない
iii主語が長い文を避ける
iv一文の主語をはっきりさせる
v簡潔にする
III.日本語において自然な単語を選ぶ
i正確な単語を選んで、明確に理解されるようにする
ii翻訳先言語の慣用に従い、翻訳のなめらかさを高める
iii補足資料
I.読みやすい内容にする: 全体を考える
学術的な文章は、通常決まった構造を持っています。その翻訳には、ミクロと マクロという2つの面での作業が必要になります。各単語、各文の翻訳のみに焦 点を合わせると、段落の構造を見失ってしまうかもしれません。文章のなめら かさを高める上で、全体像を見てその意味を効果的に伝えることが重要です。 各文の翻訳をひとつの作業とすれば、それらを全体として適切にまとめるのは また別の作業です。
一文一文、一語一語はうまく翻訳されていても、原稿全体ではよくわからない、 首尾一貫していない、読みやすくない、という翻訳がときどきあります。これ は、翻訳者の側で全体的にどのように理解されるかを考えることが難しい場合
があるからです。
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